読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Papen's Piling

自分が興味を持った事柄に関するまとめ TwitterID:Papen_GaW

MENU

スージーのしんりゃくレポートで登場した社員+αを調べてみた

  今回は「スージーのしんりゃくレポート」、2016年ハル研究所インターンシップのデザイナーブログ、プログラマーブログに登場した社員についての紹介、分析記事です。なお、果たした役割は『星のカービィWii』、『星のカービィ トリプルデラックス』、『タッチ!カービィ スーパーレインボー』まで遡ることもありますが、分析や評価については『星のカービィ ロボボプラネット』に限られます。

スージーのしんりゃくレポートに登場する社員について

 スージーのしんりゃくレポートに登場する、ハルトマンワークスカンパニーの社員に扮した方々は『星のカービィ』シリーズのスタッフリストに登場するスタッフの氏名と照らし合わせると、全員が実在する人であることが分かります。以下はその対応表です。

  • スレンダー・エツコ→佐藤 悦子
  • スケルトン・カンノ→菅野 晃宏
  • マスタッシュ・オオタ→大田 裕介
  • テクニカル・フジタ→藤田 剛志
  • シークレット・クマザキ→熊崎 信也
  • ラストサムライ・キタ→北 健一郎
  • スパニエル・トウドウ→東藤 由美
  • ワークアウト・カワカミ→川上 雄太
  • ボックス・ムカエ→向江 康博
  • グランデ・ファーマン→ファーマン 力
  • ウェービー・ヒトム→伊藤 仁
  • カーズ・モチヅキ→望月 哲也
  • プレーンズ・カワタ→河田 茂幸
  • ホワイトガジェット・エンドウ→遠藤 裕貴
  • ウェザーコック・アンドウ→安藤 浩和

デザイナー

佐藤 悦子(スレンダー・エツコ)

入社年:2013

 しんりゃくレポートでトップバッターを務めた方です。職種紹介でも「サトウ」名義でデザイナーとして紹介されています。*1同記事内では仕事用のデスクの写真があり、以下の書籍を資料として利用していることが分かります。他にもいくつか棚にありますが、筆者はこの2つしか分かりませんでした。

キャラクターズ・オブ・ミリタリー

キャラクターズ・オブ・ミリタリー

 
メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド

メイキング・オブ・マッドマックス 怒りのデス・ロ-ド

 

 登場したスケッチはどちらもキャラクター関係ですので、恐らくそれらを中心に仕事をしていると思われます。憶測にはなってしまいますが、以上のような資料を持っていることから『ロボプラ』のロボボアーマー・ホイールモードや、同作のアメコミ風ステッカーの実装に関わっているのではないかと考えています。

 しんりゃくレポート内では、コピー能力、スージー、ギミックのスケッチが展示されました。3つは「開発の早期に決めないと全体のスケジュールが遅れるもの」の共通点があります。コピー能力とギミックを決めなければレベルデザイン構築に着手できませんし、シナリオを構成するキャラのスージーが決まらなければムービー制作が不可能だからです。そのため、この3つのスケッチのみで考えると彼女は開発の初期からそれを担当していたと言えます。

菅野 晃宏(スケルトン・カンノ)

入社年:2009

 しんりゃくレポート第2回、第4回、第8回に登場した方です。スタッフリスト内では「リードモチーフデザイン」としてクレジットされています。本人の価値観が分かる資料としては2014年のハル研究所インターンシップの際のデザイナーブログ*2があります。ブログにおける彼の記事を参照すると、目的に合わせたデザインの設定や、人の感情を動かす「何か」を盛り込むことが必要だと考えているようです。

 実際、しんりゃくレポートで登場したスケッチはどれも特定の目的に合わせたものであり、特に背景は研究所の異質さ、建設現場が与える環境汚染への懸念(特にポップスターは産業化とは無縁の場ですから、垂れ流しの汚水は強烈なインパクトを与えます)、整備された道と保護された植物がもたらす開発と環境保護の両立の歪な側面という風に、『キカイ化』というテーマに見事にはまったスケッチを生み出しています。

 逆に、ロボボアーマーの5つのモードのスケッチでは「目的に合わせたデザイン」に囚われてしまったのか、コピー能力で随時変化するというアイデアになかなか到達できなかったように見えます。ただし、これは元々「ロボボは乗り換え」で進めたと思われる熊崎の仕様書が原因でもあります。

大田 裕介(マスタッシュ・オオタ)

入社年:2007

 しんりゃくレポート第2回、第3回に登場した方です。「マスタッシュ(mustache)」からも分かる通り、口ひげが特徴的なスタッフです。『TDX』、『ロボプラ』双方で背景チームのリーダーを務めていました。それを裏付けるように、しんりゃくレポート内のスケッチは全て背景に関係するものですし、また2013年に彼は「背景デザインの重要性という記事をハル研ブログに投稿しています。背景デザインに特に力を入れているとはっきり結論付けられます。

藤田 剛志(テクニカル・フジタ)

入社年:2009

 しんりゃくレポート第3回に登場した方です。『TDX』、『ロボプラ』両作品でギミック班のリーダーを務めていました。ギミックは遊びの核とも言える要素ですのでディレクター、プログラマーとの綿密な連携が必要となります。現在の『星のカービィ』シリーズは視点は2Dでもモデルは3Dですので、ギミックのデータを作成するに3Dモデルへの理解が、特にチームリーダー*3である彼には要求されるでしょう。

 テクニカルの渾名の通り、アクシスアークスの3Dデザインが紹介されていますが、一方で動物をモチーフにしたスージーのスケッチも存在します。他のスージーのスケッチには動物を連想できるものがありませんので、「機械化の中心人物を動物が取り仕切る」というアイデアは彼独自なのかも知れません。

熊崎 信也(シークレット・クマザキ)

入社年:2002

 しんりゃくレポート第3回、第4回、第6回、第8回に登場した方です。既にお馴染みの方ですので気づいたことだけを話題にします。

f:id:dougin-1809:20161205175035p:plain

出典:星のカービィ ロボボプラネット:スージーのしんりゃくレポート 相棒!ロボボアーマー | ニンテンドー3DS | 任天堂

 彼のロボボの原案を見ると、アーマーに「1」、「3」、「5」の番号が割り振られている個体がいます。恐らく、開発初期は菅野氏に指示したように複数存在するロボボ(1号機、5号機のような形で)を乗り換えで進める形で制作を進めていったのだと思われます。この原案では結局上手くいかず、今のロボボになるまでにかなりの試行錯誤が行われたのでしょう。

北 健一郎(ラストサムライ・キタ)

入社年:1995

  しんりゃくレポート第3回、第4回、第6回(名前のみ)、第8回に登場した方です。『Wii』、『TDX』、『ロボプラ』でキャラクター班のリーダーを務めていました。ラストサムライは髪型からだと思われます。

 スケッチを見ると、スージーではプレイヤーの知るデザインに非常に似たものになっていますが、第4回のロボボは似ても似つかぬ造形を露わにしています。そのため、制作段階での仕上げには深く関わっていても、その仕上げを決定とする所までは担当していないと推測できます。他に理由を挙げるとすれば、伊藤 仁の星の夢のデザインラフにチェック済みのサインはしても、決定はゼネラルディレクターの熊崎が行っているというのも該当します。彼自身はチーム内で出来たものを"カービィらしく"することに注力しても、それを最終案にするよう働きかけることはしていないと言えます。一言で表すならば「権威ある職人」の立場で彼は動いています。彼は入社してから既に20年以上勤務し、しかも開発の前線にいる古参中の古参です。そのような方がデザインの仕上げに深く関わっているのは度々言及される「カービィらしさ」の維持にも大きく寄与していますし、逆に言えば彼のような人が開発現場からいなくなると「カービィらしさ」が大きく変質していくのかも知れません。

東堂 由実(スパニエル・トウドウ)

入社年:2009

 しんりゃくレポート第5回に登場した方です。『カービィファイターズZ』、『デデデ大王のデデデでデン』でデザインディレクターを、『ロボプラ』でセクションディレクターを務めていました。スパニエルは飼っている犬のことか、髪型のどちらか、または両方だと思います。

 レポート内で公開されたものを見ると、彼女が『ロボプラ』のサブゲームの1つ、「カービィハンターズ」のディレクターであり、彼女が仕様書を作成したと考えられます。何故なら、カービィミュージアムで公開されていた『ロボプラ』の企画書にサブゲームの記述が見当たらず*4、熊崎は頻繁にインタビューに登場していながらもサブゲームについて殆ど口にしないという2つの理由があるからです。

川上 雄太(ワークアウト・カワカミ)

入社年:2009

 しんりゃくレポート第5回に登場した方です。『Wii』でサブゲームデザインを、『タチカビSR』でリードキャラクターデザインを、そして『ロボプラ』でリードデザインを務めていました。『タチカビSR』は東京HAL研を中心に制作された物であり、彼がそこで重要なポジションを担当していた事から、普段は東京勤務の可能性があります。

 『カービィハンターズ』のスケッチには3Dモデルと2Dの背景が混じった独特なもの*5が存在し、『カービィの3Dチャレンジ』にはそのような混合はありませんが2Dスケッチと3Dモデルが両方展示されています。基本的に3Dモデルは2Dのスケッチで最終案が決まってから作られるため、彼は『ロボプラ』制作開始後ある程度時間が経ってから参加したと考えられます。

向江 康博(ボックス・ムカエ)

入社年:2004

 しんりゃくレポート第5回に登場した方です。『ロボプラ』でセクションディレクターを務めていました。どちらかと言えば『ハコボーイ』の産みの親として説明した方が通じやすいかも知れません。

 配置パターンを見るに、ゲームデザインの構築としては『Wii』制作で生まれた2つめの没作品である箱庭カービィからコピー能力を抜き、『星のカービィ』の「吸い込み→吐き出し」をゲームの核とし、そこにパズルゲームに頻繁に見られる連鎖システムを導入していった過程が考えられます。「アクションを土台にパズルのシステムを組み込んだ」と考えると『ハコボーイ!』でも見られたゲームデザイン構築と言えます。ですので、「カービィの3Dチャレンジ」は彼が企画し、監修したと結論付けられます。

 なお、彼が『ハコボーイ!』のディレクターとしてインタビューを受けたものはこちらの記事にあります。

dougin-1809.hatenablog.jp

ファーマン・力(グランデ・ファーマン)

入社年:2009

 しんりゃくレポート第6回に登場した方です。グランデは長身が由来でしょう。彼は「GDC2014に参加しました」という記事と、EL MUNDOのMember Listのプロフィールに「私は靴のサイズが30cm」の記述があるからです。(同時にこの2つのページの人物が同一である証明にもなります)

 主にキャラクターのデザインとモーションに力を入れているようです。デザインでは「丸っこさ」を重視しているのか、EL MUNDOに投稿されているイラストに写るキャラクターはどれもユーモア溢れる造形を見せています。

 実は、EL MUNDOに投稿されたイラストにはこのようなものもあります。f:id:dougin-1809:20161216201548j:plain

出典:ファーマン りき - Artist - experiment comics El Mundo [エルムンド] -

これを彼が作成したハルトマンのスケッチと比較すると、どちらも顔については丸っこさが反映されているのが分かります。このスーツを着た白髪のお爺さんとハルトマンが同じだとは到底言えませんが、アイデアの源泉は似ていると言えるかも知れません。

f:id:dougin-1809:20161216201902p:plain

出典:星のカービィ ロボボプラネット:スージーのしんりゃくレポート 手ごわいボスたち | ニンテンドー3DS | 任天堂

伊藤 仁(ウェービー・ヒトム)

 入社年:2012

 しんりゃくレポート第6回に登場した方です。ウェービーは髪型を表していると思います。2015年インターンシップのデザイナーブログにある似顔絵を見ると、"波がある"髪型だと表現できるからです。

 彼はデザイナーブログでこのようなことを発言しています。

ゲーム全体のデザイン統括はディレクター、デザインリーダーが担っているため、このように何度か監修を受ける必要があるのですが

ではデザイナー個々には全く裁量がないのかというと、そうではありません。デザインについてはかなり任せてもらえます!

適切なコミュニケーションをとり、いろいろな要望を取り入れながらにはなりますが、ハル研究所では、最終的なデザインが決定されるまで“デザインに関する一切の作業”は一人のデザイナーが担当しますし、こちらから積極的に提案も行います。

出展:ハル研究所インターンシップ : HAL LABORATRY, INC. Internship Site 2015

 スージーのスケッチを見ると分かると思いますが、人によって、使用する道具や描き方が違ってくるのはこの方針が影響していると考えられます。同時に、イラストには作成した本人の個性が強弱あれど出ていると解釈できます。彼は星の夢のスケッチの最終決定版の作者でもあるため、よって、星の夢には彼の価値観が反映されていると言えます。

望月 哲也(カーズ・モチヅキ)

入社年:不明

 しんりゃくレポート第7回に登場した方です。過去に参照できる資料がなく、入社年も不明なため古参社員であることが窺えます。ちなみに最初に関わった作品は『星のカービィ スーパーデラックス』です。その頃から度々デザインとして関わっていますが、『ロボプラ』で初めてUIデザインを務めることになりました。何故そうなったかは分かりません。

河田 茂幸(プレーンズ・カワタ)

入社年:2005

  しんりゃくレポート第7回に登場した方です。こちらは『TDX』でUIデザインを務め、『ロボプラ』でもその立場で関わることになったようです。望月と同様参考資料が存在しないため、分析は不可能です。

遠藤 裕貴(ホワイトガジェット・エンドウ)

入社年:2006

 しんりゃくレポート第8回に登場した方です。『ロボプラ』ではレベルデザインディレクターを務めました。実はデザイナーブログやハル研ブログに全くと言って良いほど登場したことがなく*6彼については全く分かっていません。

 スケッチを見ると、熊崎のものと比べ色が白黒に限定されシンプルなものとなっていることから説明するための絵を描くのに優れていると言えます。

サウンドクリエイター

 安藤氏のみ別カテゴリとなります。デザイナーに分類するのは不適切と判断したためです。

安藤 浩和(ウェザーコック・アンドウ)

入社年:1991

 しんりゃくレポート第7回に登場した方です。『ロボプラ』でリードサウンドとなり、石川 淳とのサウンドとしての併記が終わりました。ウェザーコックは風見鶏のことです。安藤氏が鶏好きであることは既にご存知の方も多いと思いますが、ここで彼の「鶏好きの証拠」をこちらで集められた分だけ出します。

安藤 浩和


4歳からエレクトーンを習い、パソコンで作る音楽の面白味を知ってハル研に入社。
彼が作る曲の独特の和音は、あまり目立たないうちに、ひそかに心に残る。
にわとりが好き。愛妻家。

出典:速報スマブラ拳!! : 音楽スタッフ座談会

f:id:dougin-1809:20161216220227p:plain

出典:社長が訊く『毛糸のカービィ』

f:id:dougin-1809:20161216220503p:plain

出典:ハル研究所ウェブサイト:HAL LABORATORY, INC.|新卒採用|

 音楽の話について筆者は知識が全くありませんので、ここでは彼に与えられた指示について分析したいと思います。基本的に熊崎は具体的な音楽の知識を用いた指摘ではなく、概念を用いた説明でオーダーしています。ハルトマンワークスカンパニーのテーマにおいて、熊崎は「悪の巨大企業」「未知なる侵略者」という概念を取り出してきましたが、これは発信者(熊崎)と受信者(安藤)の間で持つ意味が違ってきます。2人がこれらの要素を理解するに必要とする作品や経験が全く同じとは言えないからです。安藤はこのオーダーを聞いて、曲の調整を行ってきました。事実、彼は作曲家として長い経験がありますので同じ分野からの指摘よりは、違う形で行った方が全体としてプラスになります。特に熊崎は膨大な作品に触れていることが個人サイトからも把握できますので*7彼にとっては得意なやり方なのかも知れません。

プログラマー

 ここからはプログラマーに入ります。基本的に分かっていることは開発時の立場しかありませんので説明は短くなります。

西村 悠樹

入社年:2005

 彼は『ロボプラ』の本編チームのリーダーを務めました。同作品のスタッフリストではリードプログラム3名の中で最も早く登場するため、あの順番は果たした役割と関係していると指摘することもできます。なお、今回紹介するプログラマーでは最古参に当たります。

大西 洋

入社年:2008

 『ロボプラ』のサブゲームチームのリーダーを務めた方です。スタッフリストではリードプログラムとして最後尾です*8。以前『カービィファイターズZ』や『デデデ大王のデデデでデンZ』のプログラムディレクターを担当していましたので、サブゲームと縁のある方です。

加藤 歩

入社年:2012

 『ロボプラ』ではギミック、プレイヤーキャラクター、中ボスなどの挙動を務めた方です。元々はシステムプログラマーで入社したようですが、後にゲームプログラマーに変わって今に至るとのことです。『ハコボーイ!』ではUIやシーケンスを、『ハコボーイ!もうひとハコ』ではなんとハコ漫画の原案を描くなど多才な人物と言えます。

谷藤 圭太

入社年:2010

 『ロボプラ』ではスペシャルサンクスで載ったため詳しい仕事内容は分かりません。加藤とは逆にゲームプログラマー→システムプログラマーの道を彼は辿りました。『Wii』ではコピー能力、ギミックを、『TDX』ではボスキャラクターを担当していたようです。

八坂 俊

入社年:2013

 彼は『ロボプラ』で主にギミックや敵キャラクター、ボスの制作を担当しました。「主に」ですので他にも仕事があったのでしょう。同作品のスタッフリストの「プログラム」では14人中2番目に登場しますので果たした役割が大きいと予想できるからです。また、Newニンテンドー3DS標準搭載のインターネットブラウザーのUIのプログラムにも関わっていました。ハル研究所はかつてWiiUに搭載されているインターネットブラウザーのUI開発も行っていたため、それと同じ形で仕事を行ったのだと思います。

外部パートナーとしてACCESS(アクセス)(※1)さんという、
WebKit(ウェブキット)(※2)をベースにした
技術に秀でた会社と、UI(※3)の部分では3DSから引き続き、
ハル研(※4)さんと一緒に開発を進めました。

出典:社長が訊く『Wii U』 インターネットブラウザー篇|Wii U|Nintendo

なお、彼は2013年に入社したため2012年に発売したWiiUの方には関わっていません。

山下 晃宏

入社年:2014

 『ロボプラ』では、プレイヤーキャラクターの挙動、サブゲームなどを担当した方です。同作品で初めてスタッフリストに載りました。現状、それぐらいしか判明していることがありませんので、分析も予想も不可能です。

分かったこと

 さて、ここまでデザイナーとプログラマーについて分析してみましたがこれらの部分をまとめ直すと以下のことに気づきました。

  1. 本編とサブゲームはプログラムのチームリーダーが違い、担当する企画ディレクションも違う。
  2. 勤続7年辺りから役割が固まる人が出始める。
  3. キャラクターデザインの裁量はかなりあるため、作者の個性が比較的反映されやすい。
  4. ただしキャラクターデザインの統括はベテラン社員が執り行っている。
  5. ディレクターもデザイナーの立場としてアイデア出しに加わるが、ディレクターであってもチームリーダーの意向には従う必要がある。
  6. スタッフリストの同職種内の順番は「開発に関わった時期順」、「関わった役割の大きさ」の2つの説が考えられる。

 まず1番目については、桜井政博がカービィに関わっていた頃とは全く違います。かつて筆者は『星のカービィ』シリーズにおける桜井政博のゲーム制作の哲学を調べましたが、この時彼はミニゲームに「ワンボタン」を紐付ける意志を持って、制作に臨んでいました 。

dougin-1809.hatenablog.jp

ですが、『ロボプラ』のサブゲーム制作は本編とは違うディレクターが、違うプログラムのチームリーダーがいて彼らが大きく関わっていました。そうなってくると、桜井の時のような開発体制で『星のカービィ』を語るのは少々危ういと言えます。勿論無駄を防ぐためゼネラルディレクターの熊崎との調整はあったとは思いますが*9

 2番目はその名の通りで、それ程の経験を積んだ社員が制作の中心を務めているということです。ただ、この勤続7年というのは2009年に入社した社員のことを指します。2009年当時、『星のカービィ』シリーズの開発は順調であったとは外部からは判断しづらいものでした。完全新作王道カービィは、もっと言えば『星のカービィGC』はどうなったのかと噂され、ネット上では度々「ハル研仕事しろ」と言われた*10時期でした。この順調どころか苦しい時期に、社員を育ててきたらこそ今の結果が残されていると言えるのです。

 3番目と4番目はキャラクターデザインの統括と裁量の点で大変参考になります。ただ、これはあくまでもキャラクターデザインの話ですのでギミックや背景、UIでどのような体制になっているかは不明です。

 5番目は、度々熊崎がスケッチで他のデザイナーと一緒にアイデアを提供していたことを根拠としています。実際、熊崎はデザイナーから企画ディレクションに移行した方なためデザイナーとしての仕事も可能でしょう。ただし、あくまでデザイナーとしてですのでスージーのスケッチのように髪飾り以外は没となることも起こります。

 最後の6番目については、デザイナーの佐藤とプログラマーの西村、八坂のスタッフリストの並び順をそれぞれ考慮した結果、このような形となりました。現状、証拠が少ないためさらなる検証は新情報の発見まで不可能ですが、少なくとも、山梨開発センターが主導するプロジェクトにおけるスタッフリストの並び順は何らかの要素に基づいていると判断することが可能です。

 最後に

 今回、しんりゃくレポートで出たスケッチやスージーの発言を、比較可能な過去の資料やデザイナーブログ、プログラマーブログを用いて分析してみましたが、この分析による最大の収穫は「言っていることとやっていることが同じ」ということです。ハル研究所は企業として異常なほど情報公開に積極的ですが、その様々な媒体で公開された情報を照らし合わせると違和感なくはまっていくのです。誇大宣伝をやらず、事実のみを伝える姿勢ができているというのは正直驚きでした。今後もそのような体制が続くのであれば、こちらの分析も意味を成すでしょうし、もし別の体制に変わるなら分析の手法も変えていく必要があると思います。

 何にせよ、現時点の開発スタッフによるゲーム開発について分析できることは、これぐらいだということです。

*1:ハル研究所には佐藤 真美子氏もいますが、こちらは2014年入社で『星のカービィ トリプルデラックス』に関わっていないため、記事に登場する方は佐藤 悦子氏だと判断しています。

*2:サイトに移動すると、飛ばすのが少々面倒な演出が出てきます。

*3:ハル研究所では「班」と「チーム」は同じ意味として利用されています。

*4:一切覚え書きなどが無く筆者の記憶の中の話ですので、本当はあったかも知れませんが…。

*5:左上のイラストが該当します。3Dモデルの有無も想定しましたが、その場合、Mr.フロスティのモデルが存在するにも関わらず適当なイラストで済まされている右上のイラストが説明できません。

*6:一応、2014年8月22日に「運動不足解消の工夫」という記事を投稿していますが、題名からも分かるとおりゲーム制作とは直接関係しません。

*7:あまりにも多すぎて、いつ寝ているのか心配されることも。

*8:そうなると、間に挟まれている川路 慎一は本編チームのサブリーダーを務めていたのでしょうか?

*9:憶測に過ぎませんが、『TDX』→『ロボプラ』でディレクター→ゼネラルディレクターと熊崎の立場が変わったのは、この本編とサブゲームで異なる開発体制への対応のためだと現状考えています。実際、『TDX』のサブゲームの発展作品である『カビファZ』や『デデデンZ』では熊崎がディレクターを務めていますのでこの時までは権限を強化する意義は薄かったと考えられます。

*10:この時期、2chにある「カービィ総合スレ」ではスレタイに【ハル研】【仕事しろ】と付けられていたようですが、筆者は確認できていません