Papen's Piling

自分が興味を持った事柄に関するまとめ TwitterID:Papen_GaW

MENU

「グッズカービィ」という新たなカービィ(10/22 追記)

 『星のカービィ』は作者や開発の中心人物によって、桜井カービィ、下村カービィ、旗船カービィ、山本カービィ、熊崎カービィ、さくまカービィ、ひかわカービィ、谷口カービィ、高瀬カービィ、アニメカービィ等数多くの名称で区別・差別化が為されています。ですが、グッズ展開におけるカービィは独特の世界観を持ちながら、何故かそのような名称が用意されず、差別化がされておりません。今回はもう1つのカービィ、「グッズカービィ」について話していきたいと思います。

10/22 追記…Nintendo Dream 12月号における『星のカービィ』シリーズの特集の内容が反映され、内容が増加・一部変更となりました。

担当する人達

 「グッズカービィ」という風に特定の人物が入っていないのは、担当する人達が複数挙げられるからです。ハル研究所における中心はブランドマネジメント課となっており、以下の3つに分かれます。

  1. プロデュースを担当するスタッフ
  2. ゲームのロゴやパッケージ、広報素材などのアートワーク
  3. キャラクター商品向けのイラストレーションなどの制作を担当するデザイナー

 1つめの「プロデュースを担当するスタッフ」は、ゲーム作品とはあまり関係ないためスタッフリストでは分かりませんが、過去のHAL研ダイアリー・ブログを参照するとキャラクタープロデュース課で勤務していた方を差すと思われます。代表的な人物は山本 正宣、藤江 宏志です。前者は何に関わったのか不明のままですが、後者の藤江 宏志は三英貿易から販売された『アクションカービィ』では企画コンセプト、造形、パッケージデザイン、商品の広報宣伝に、『サウンド・オブ・カービィカフェ』ではプロダクションプロデューサーとして関わっています。ちなみに、現在もこの部門が存在するかは不明です。筆者は2013年頃にキャラクタープロデュース課がブランドマネジメント課に名称が変更されたのではないかと推測しています。裏付けとなる資料がありませんが。

 2つめの「ゲームのロゴやパッケージ、広報素材などのアートワーク」は、ゲームのスタッフリストでは「アートワーク」として載る方々を指します。代表的な人物は能登谷 哲也、仲上 雅代、川原 理恵子、佐野 由美子、矢田 雄紀*1です。所謂公式イラストも担当してます。

 3つめの「キャラクター商品向けのイラストレーションなどの制作を担当するデザイナー」は主にどのような方が担当しているかがはっきりとしません。先ほどのアートワークが兼任することもあれば、「サウンド・オブ・カービィカフェ」では普段アートワークとしてクレジットされない人がデザイナーとなっています。*2

 この3つの担当で構成されるブランドマネジメント課とグッズ企画・製造を行う会社(エンスカイや三英貿易など、カービィカフェではスパークル)が共同で監修して『星のカービィ』というブランドを各地に展開している状態です。

 10月21日に発売されたNintendo Dream 12月号では、この部分が深く掘り下げられており

  • ワープスター/ハル研究所の藤江 宏志
  • 三英貿易の司茂 優樹
  • エンスカイの伊藤 裕一

が展開のコアとなっていることが読み取れます。この3名は全員昭和51年生まれの同期でもあり、このような共通した点がある種の連帯感を生み出しているとも言えるでしょう。(なお、異なる商品製作会社が共同で企画をする状態は、普通は有り得ないことであり、エンスカイの伊藤にも「「カービィ」以外ではないですね。」(P23)と言われています)

新たな世界観の構築

 グッズとして売るにはある特定の世界観を構築しなければなりません。これは制作側、消費者側双方に理由があります。

 まず制作側には「ある特定の世界観がないとグッズ化するのが難しい」という事情があります。グッズ化というのは多岐に渡るため、例えばマグカップと手ぬぐいで使われているカービィのデザインが全然違うものであれば制作に手間が生じて、コストの面で不利に立たされます。勿論、その「型」は即座に「カービィだ!」と認識できて、流用しやすいものであれば尚良いことでしょう。かつてTVアニメ版『星のカービィ』の関連グッズが大量に出たのはそれがあったからだと言えるでしょう。

 カービィは単純な形による"なんでもあり"がウリですが、ここでは"単純な形を利用した流用しやすい世界観"がウリになるという訳です。特にカービィシリーズは元となる作品によって大規模な変化を見せるため、例えばSF的趣向の強い『星のカービィ ロボボプラネット』の関連グッズと一緒に並べても馴染むような世界観が必要となります。

f:id:dougin-1809:20160803132402j:plain

出典:https://twitter.com/Kirby_ensky/status/753434094755647488

 こういった事情は消費者側にとってもある面ではプラスに働きます。特定の世界観があれば、カービィだと容易に認識できるからです。グッズに触れる方全員がカービィを知っていることを前提にしている訳ではありませんので、ある程度似たものでなければ印象には残りません。グッズ展開の幅が、カービィの表現の仕方が狭まるという懸念はありますが、手にとってもらわなければ意味が無いのですから。

 事実、ハル研究所兼ワープスター社員の藤江 宏志は次のようなことを述べています。

藤江 はい。通常は「スタイルガイド」という基本のイラスト集から、各メーカーさんに商品デザインを考えていただくんです。でも、そればかりだと展開が単調になってしまうので「そろそろ新しいテーマのアートを追加してカービィの活性化を図ろう」というふうに、定期的に新しい表現のイラストを掻き起こしていきます。

出典:Nintendo Dream vol.272/Dec.2016 P12

2015年以前のグッズは、スタイルガイドに則ったグッズが主流であり、以降のグッズは特定の世界観、テーマに則ったグッズがそうなったと言えます。展開の幅が狭まるという懸念については、いくつものテーマを利用する*3ことで対処しているようです。

Nintendo DREAM(ニンテンドー ドリーム) 2016年 12 月号

Nintendo DREAM(ニンテンドー ドリーム) 2016年 12 月号

 

 

グッズで変化するキャラクター達

 グッズ化でキャラクターそのものに大きな変化が加えられる場合もあります。代表的な例はメインキャラクターの1人、メタナイトです。2016年4月28日に発売された『星のカービィ まんまるスタンプ』では真面目な顔でギャグを披露するスタンプが登場し

f:id:dougin-1809:20160804150421p:plain

出典:星のカービィ まんまるスタンプ - 公式スタンプ

カービィカフェでは「メタナイトが夜な夜なこっそり食べてるパフェ」というメタナイトをモチーフにしたメニューが出されたりと

f:id:dougin-1809:20160804152052j:plain

良く言えばキャラクターの幅を広げるような、悪く言えばキャラクターのイメージを大きく変えるようなグッズが展開されています。また、これよりは話題に上がりませんが、「カービィの雑な絵」も似たような例としてあげるべきでしょう。

f:id:dougin-1809:20160804160555j:plain

 カービィに「絵が下手」という公式設定は存在しません。勿論、メタナイトにも「こっそり夜中に甘いものを食べている」という設定もありませんし、真顔でギャグを飛ばすことも触れられていません。これらは、それぞれのキャラクターの「ギャップ」や「ありそうな設定」をグッズの中で表現した結果と言えます。

同時に展開される、"ファンなら分かる"カービィ

 ここまで話したグッズカービィは将来の消費者、さらに言えば『星のカービィ』を名前しか知らない人に向けたと思われるものですが、実際の展開を考えるとそれとはまた違ったグッズカービィもこの世界には存在します。ここでは2つの例を出しましょう。

f:id:dougin-1809:20160804154752p:plain

 2016年の4月28日から5月27日にかけて全国のヴィレッジヴァンガードで「星のカービィ 夢の青春スーパーデラックス」というキャンペーンが行われましたが、ここでは1993年に発売された『星のカービィ 夢の泉の物語』、1996年に発売された『星のカービィ スーパーデラックス』をモチーフにした商品がメインでした。

 出てくる商品も『SDX』のセーブ画面*4のメモ帳だったり、『夢の泉の物語』のパッケージを模したミニ缶ドロップ、2作品のコピー能力を表す一枚絵を使ったステッカーシート*5ど、ゲームをやっている人であれば琴線に触れるものがフェア限定・先行発売グッズとして出されました。このような商品では独自な改変は施されておらず、ゲームを忠実に再現することに力が注がれています。

f:id:dougin-1809:20160804154903j:plain

 また、株式会社アヴェンジャーズが出す予定のシリーズ「ティンクルサーカス」*6では、『星のカービィ スーパーデラックス』とそのリメイク作品『星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』に登場し、根強い人気を持つコピー能力、ミラーにフォーカスした商品*7をメインにするなど、"ファンなら分かる"、"ファンなら納得する"グッズを出しています。この株式会社アヴェンジャーズ、過去に「ポケモン セピアグラフィティ」というシリーズを出してましたが、そこでのピカチュウは現在の細身ではなく、初期のぽっちゃり体型を再現し、しかもそこに好物と設定されていたケチャップを加えるという"ファンなら分かる"形にしていました。しかもそのシリーズのキャッチフレーズが

「ポケモンと共に成長した子供たちも、今はもう大人。
一度ポケモンを卒業した大人たちが、もう一度ポケモンに出会える。
そんな大人向けポケットモンスター商品のご提案です」

出典:【グッズ】ポケモンの新アート!「ポケモン セピアグラフィティ」のグッズが登場!|ポケモンだいすきクラブ

となっており、かつてポケモンを愛していて、その時の価値観をタイムカプセルのように保存している人達に向けたものとなっています。このようなフレーズは「ティンクルサーカス」にも適用できると言えます。何故なら、「ティンクルサーカス」には『星のカービィ トリプルデラックス』で初登場したコピー能力、サーカスも登場しますが、上の写真からも分かる通りその色はミラーの使い回しで構成されており、あくまでも対象者が「『SDX』『USDX』をやってきてもうカービィを触れていない人(=『TDX』をやっていない)」に絞られているからです。

 このように、グッズ化というのは単に新規ユーザー獲得のために行われるだけでなく、元々カービィと親しんでた人を対象にして行われることもあります。

グッズ化の3つの側面

 幾つか事例を見てきましたが、グッズ化というのは広く浅く、場合によっては狭く深く展開されるものだと理解できるでしょう。現状、グッズカービィには

  1. ある特定の世界観を彩るグッズ
  2. キャラクターの"ギャップ"、"ありそうな設定"を表現したグッズ
  3. ゲームを忠実に再現したグッズ

 の3種類があると言えます。これらが混じり合ったり、別個に存在するのがグッズカービィと言えるでしょう。

今後のカービィシリーズ

f:id:dougin-1809:20160804170856p:plain

 『星のカービィ』は24年続いており、ある特定のチームによって作られたシリーズでは既になくなっています。冒頭で人物や媒体を接頭語として加えたカービィをいくつも出しましたが、それだけ『星のカービィ』にはいくつもの世界観があるということです。確かに同じものですが、表現の仕方が全く違うのです。それらを『星のカービィ』として全て一纏めにするのか、別個な存在として認識するのか、それとも受け入れられないものは排除するのか。対象には今回挙げた「グッズカービィ」も入っており、どれを選択するかは一人一人に委ねられていると筆者は考えています。

*1:Nintendo Dream 12月号では「雄紀」で紹介されており、そこでの説明もスタッフクレジットでは「優紀」として登場している『星のカービィ トリプルデラックス』が載っていたことから、「雄紀」で確定となりました。

*2:阿部 晴果は『タッチ!カービィ スーパーレインボー』ではリードモチーフデザインを、大森 香菜子は『ロボプラ』でデザインを担当しています

*3:プププなピクニック、プププなおかしやさん、プププなミルキーウェイ、プププなグルメツアー、プププなマーチングバンドとキデイランドで度々開催されるフェアは様々なテーマが採用されています。

*4:0%0%0%

*5:SDXのものが初公開された時、実際のゲーム画面と違うという意見が出されたため、すぐに修正されたものを再公開する程徹底してました

*6:名前も、「ティンクル☆ポポ」を連想させますね。

*7:このミラー、『星のカービィ ロボボプラネット』では大きくデザインが変わりましたが、その新デザインではなく旧デザインを再現したものとなっています。